2014年08月19日

短編小説「鈍感で不器用な恋」

生まれて初めて告白された
いつも仲良しな女の子に
頭の中が真っ白になって
あわわ あわわ とたじろいだ
恋愛なんてしたことなくて
自分には無縁だと思ってた
何も分からずじまいだし
目の前の子を 好きか嫌いかで見たこともなかった

不安そうな女の子は
「やっぱりダメかなぁ」と悲しげに呟く

そのとき胸が苦しくなった
そんな表情 見たくはなかった

「一緒に公園まで散歩しよう。もう少し話がしたいんだ」
答えになっていないけど
精一杯 寄り添ってみた

たぶんこの答えの在りかは
一人で見つけられない場所

女の子は嬉しそうな顔で頬を赤らめ
「うん!」と大きく頷いた

真っ白な頭で見る 真っ白な世界は
乾いた風が吹いていた

でもなにかが少し色づき始め

見えていなかった世界や
聞こえていなかった世界が
徐々に顔を出し始めた


歩く二人のスニーカーの音
夏の清流が海へ向かう音
蝉時雨が大気に反射する音
唇を震わす風の音
はしゃいで揺れるポニーテール
夕焼けが伸ばす彼女の影
早く早くと急かす声
応えると遠くに見える笑顔
赤く染まった街より
赤く染まった影より
自分の心が赤へと染まった
とがった色でも
にごった色でも
間違いでできた色でもない
優しい赤へと心が染まった

そんなこと初めてだった
こんな感情初めてだった
答えはもう見え始めていた

優しい赤は  あの色だろう
知らずに育った あの色だろう



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短編小説トーナメントに参加したいと思い、書いてみました。
小説というよりもはや詩ですが、このような一分程で読み切れるストーリーもありではないかと思うのです。

ラベル:告白 蝉時雨 初恋
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posted by つづけ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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