2015年04月10日

半分こ

ふと気が付くと私はいつも右斜め前の席を見ている
見つめる先にいるあなたは いつものように上の空
視線の先には何があるんだろう


空でもない
人でもない
何もない空間に何かを見ているみたい
私もそんな空間を見つめる
なんでも共有したい
なんでも一緒にしたい
馬鹿みたいに
あなたの好きなものをすべて好きになろうとしてる


眠れない夜は窓を開け
光の減った街を見下ろす
夜風が鋭く二の腕を切る
震えひとつに
あくびをひとつ

街より強く光が灯る
真上の夜空はプラネタリウム
こんなにこんなに綺麗なのに
写真に撮るとただの黒
たぶんもう寝てるだろうから
こんな時間に電話はできない

今の私の立場では
どんなに星が綺麗だって
あなたに伝えることができなかった


少し苦しくもなるから
この気持ちに気付かないふりをしてみたり
そんな感情で
ちょうどいい距離であなたに近づき
それとなく
それとなくを繰り返して
私は何も縮められない

「傍にいて」って言えないくらい
好きで言葉にならなくて
「好きです」って言えないくらい
あなたが全てになってしまった

想いよ
どうかここから離れないで
これ以上もうよそ見しないで 
素直に向かってほしい
素直に進んでほしい



今年一の雪のせいで
止まってしまった電車の中
すりつぶされる満員状態
あなたが腕を支えてくれた
こんなに優しくされてしまったら
なにもかもが白くぼやけてくる

雪よりも白くなった私の想いは
ただ真っ直ぐあなたに向かい始めた

「傍にいてくれてありがとう」
ボソっと呟いた言葉に
あなたは顔を赤くして、
「なんだよ、急に」とごまかした

縮まない距離で動かす心より
傍に入れなくなる怖さから逃げる心より
ただ伝えたいのは
ただ届けたいのは


ふと気が付くと私はいつも右斜め前の席を見ている
見つめる先にいるあなたは いつものように上の空
視線の先には何もない

何もない空間をなんとなく見てるだけらしい
私もそんなあなたを見つめる
全ては共有できなくていい
絶えず一緒にいれなくてもいい
大丈夫
いつでもあなたを好きだと想っていれるから
目が合うとあなたは笑ってくれるから


眠れない夜は窓を開け
光の減った街を見下ろす
夜風が鋭く二の腕を切る
震えひとつに
あくびをひとつ

街より強く光が灯る
真上の夜空はプラネタリウム
こんなにこんなに綺麗なのに
写真に撮るとただの黒
たぶんもう寝てるだろうから
こんな時間に電話はできない

そんなこと思っていたら
携帯電話がピリリと鳴る
画面の名前は想い人
「もしもし」
「あー、、俺」
「知ってる」
「ごめん。こんな遅い時間に。」
「いいよ。どうしたの?」
「なんか、一緒に見たいくらい、今日の空 綺麗なんだ。」

今の私の立場なら
綺麗な夜空は半分こ
独り占めなんてしたくない
大事なものほど半分こ

「傍にいて」って言えないくらい
「好きだよ」って言えないくらい
あなたのことを想ってる
posted by つづけ at 21:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月19日

短編小説「鈍感で不器用な恋」

生まれて初めて告白された
いつも仲良しな女の子に
頭の中が真っ白になって
あわわ あわわ とたじろいだ
恋愛なんてしたことなくて
自分には無縁だと思ってた
何も分からずじまいだし
目の前の子を 好きか嫌いかで見たこともなかった

不安そうな女の子は
「やっぱりダメかなぁ」と悲しげに呟く

そのとき胸が苦しくなった
そんな表情 見たくはなかった

「一緒に公園まで散歩しよう。もう少し話がしたいんだ」
答えになっていないけど
精一杯 寄り添ってみた

たぶんこの答えの在りかは
一人で見つけられない場所

女の子は嬉しそうな顔で頬を赤らめ
「うん!」と大きく頷いた

真っ白な頭で見る 真っ白な世界は
乾いた風が吹いていた

でもなにかが少し色づき始め

見えていなかった世界や
聞こえていなかった世界が
徐々に顔を出し始めた


歩く二人のスニーカーの音
夏の清流が海へ向かう音
蝉時雨が大気に反射する音
唇を震わす風の音
はしゃいで揺れるポニーテール
夕焼けが伸ばす彼女の影
早く早くと急かす声
応えると遠くに見える笑顔
赤く染まった街より
赤く染まった影より
自分の心が赤へと染まった
とがった色でも
にごった色でも
間違いでできた色でもない
優しい赤へと心が染まった

そんなこと初めてだった
こんな感情初めてだった
答えはもう見え始めていた

優しい赤は  あの色だろう
知らずに育った あの色だろう



images-24.jpeg
-------------------
短編小説トーナメントに参加したいと思い、書いてみました。
小説というよりもはや詩ですが、このような一分程で読み切れるストーリーもありではないかと思うのです。

posted by つづけ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする